写真を始めたのは高校生の頃。何となく「部室」というものに惹かれて友人がいた写真部に出入りしていた。その頃、何を撮っていたかなんて覚えてないなあ、思い返してみると意外にも次々と作品が思い返された。奥尻島地震前夜の紫に光る北海道の不気味な夕暮れ。ニコンの撮影会にキヤノンのカメラを持ち込んで撮影した外人のモデルのお姉さん。元気だろうか? 部室はタバコを吸うにも最適だった。
大学に入学して数週間、テニサーには全く興味を持てずに校内を歩いていたらサークル棟に空き室を見つけた。どうやって鍵を手に入れたか今になっては思い出せないが、とにかく占拠に成功した。実質の責任者は在学6年目ぐらいの方だった。ハメ撮りカメラマンとしてご活躍されていた。皇居の前で早朝に全裸フルチンで撮影された作品が印象的だった。他にもSM嬢、校内で○麻を生産されていらっしゃるシンガー、臆病なヒッピー、ビールに小便を混ぜる落研・・・いろんな皆さんが部室に出入りした。そうして、入学した年のゴールデンウィーク前には「カメラクラブ」の部長になった。壁や天井にペンキを塗ったり、捨てられているソファーやステレオを拾って直したり、たまに写真を撮ったり、学校からいただいた部費で飲みに行ったりした。翌年の春には50人近い新入部員を迎え入れ、当然の如く女子ばかり勧誘したので「キャバクラ」と呼ばれた。
金はなかったけれど楽しかった、とにかく毎日が楽しかった。授業には全くでなかったけれど部室には毎日行った。晴れた日には軒先に長椅子を出してみんなでビールを飲んだ。雨の日には映画を見ながらバーボンを飲んでタバコを吸った。窓が割れるぐらいの爆音で音楽を聴いたのはあれ以来ない。机を燃やしてBBQしたらとても怒られた。ターンテーブルを持ち込み踊り2階からダイブした。恋もした。みんなしてた。
そんな蜜月は3年生の終わりぐらいまで続いた。当時極度に尖っていた性格が安穏とした周囲や生活を許すことなく、興味を部室の外の世界に向けた。そこからの社会復帰にはとても苦労した。まともな勉強もせずにダラけた毎日だったので気持ちも脳みそも腐りきっていた。最近、学生に能書きを垂れたりことも多い。「目的意識を持て」などとついつい言ってしまうが、お前らは大丈夫だ。俺より全然マシだ。社会人になり、インターネットベンチャーに入社して本当の闘いが始まった。それから10年近く、今も闘いは続いてる。
学生の頃の写真のテーマは「他人に見えないものを見せてやる」がテーマだった。不思議な被写体ばかり撮っていた。今は、「当たり前のものを綺麗に撮りたい」にテーマが変わった。年を取り丸くなるということなのか。なんなのか。

表参道のヘアサロンにて。
